化学の定義

 <化学>って何でしょう?中学生では「理科」ですが、高校では「化学」「物理」「生物」「地学」になります。化学は実際の日常生活の中では一番身近なモノであるにもかかわらず、一番嫌われている科目のようです。学生の時に勉強したのにすっかり忘れてしまって、今では「化学」と聞いただけでアレルギーを起こしてしまう人が多いのではないでしょうか?
化学で勉強する範囲は意外と狭く、現代ではかなり解明されている学問なので一番理解しやすいと思うのですが、実際には「元素記号」「化学式」「モル」など、確かに難しい面もあるかも知れません。しかし、物理や生物や地学、ついでに家庭科(代謝や栄養など)などもベースには化学が必要ですし、家庭菜園や日常使われる化粧品・医薬品・洗浄剤など、化学の知識をほんの少し身につけていればとても役に立つと思いますので、是非学生時代の復習をされるとよいと思います。
化学が他と違って難しいのは、<2+1=3>にならないで<2+1=2>になってしまうことがあったり、劇薬と劇薬を化合すると安全なものになったり、安全なものと安全なもので毒物になったりと、結果が予測しにくいことにあると思います。逆に言えば基礎がわかってしまえばとてもおもしろいのですが・・・・。
地球上のほとんどすべての物質は<化合物>です。読んで字のごとく化学的に合成された物で、ヒトのからだも化学的に結合した「物質」を中心に成り立っています。「化学物質」や「合成物質」を否定することは、すべての「物体」を否定することになり、すべての「存在」そのものが「無」になってしまいます。


身近な化学1 (石けん=天然or自然か?)

 石けんは天然のものか?答えはです。あちこちのHPや環境保護団体などで<環境保全のために「石けん」を使いましょう。石けんは自然のもので・・・・・>などと訴えていますが、これは化学的知識が小学生以下の方の理論でしょう。石けんは油脂(高級脂肪酸のグリセリンエステル)と水酸化ナトリウム(NaOH)からつくられる脂肪酸塩です。よって、立派な化学合成界面活性剤と言えます。天然産出の石けんも確かにありますが、そんなものは手に入れることは困難であるし、使い物にもなりません。<石けんについては、界面活性剤のページへ>
では、植物原料から合成したものは「自然」なものといえるでしょうか?これも否です。「自然」の定義を地球上にもともと存在するものとすれば、「石油」や「ガス」も自然のものです。天然のものを配合することと、合成することでは意味が全く違います。人の手によって合成されたものは「自然」「天然」と名乗ることはできないはずです。
つまり、石油を原料にしようが植物を原料にしようが合成ものは合成ものでしかないわけで、「合成するための原料として植物を利用している、または天然の素材を配合している」という表現なら問題ないでしょうが、ことさら「自然」や「天然」という言葉のみを強調する情報源は信用しない方がよいでしょう。そういう情報元は儲けるために平気で「騙し」「ウソをつく」ところです。こういうところでの「化学」は「バケ学」ではなく「バカシ(ダマシ)学」といいます。(;)
自然界でも化学反応は、常時行われているので、合成物が悪いとか天然物が良いなどと言うことは全く根拠がないと思います。自然界で発生する化学反応生成物は良いもので、人間が行った化学反応生成物は悪いものというのはおかしな話です。


化学=物質とその変化をあつかう学問
単体
純物質
物体 物質 化合物
混合物

単  体
1種類の元素からできているもの
例:酸素O2、水素H2、鉄Feなど
化合物
種類以上の元素が結びついてできているもの
例:水H2O、二酸化炭素CO2など
混合物
2種類以上の純物質が混じっているもの
例:空気(窒素N2+酸素O2+他)
石けんの起源 :
古代ローマ時代、生け贄の羊を焼いて神に捧げたとき、羊から落ちる油と木灰(炭酸カリウム)が混ざってできた脂肪酸カリが起源といわれる。
石けんの製法 :
油脂鹸化法=牛脂、ヤシ油、オリーブ油などの天然油脂と水酸化ナトリウムを反応させてつくる。
脂肪酸中和法=脂肪酸をアルカリ(水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなど)で中和してつくる。
石けん CnH2n+1COONa
パラフィン(炭化水素) CnH2n+2
高級アルコール CnH2n+1OH
高級脂肪酸 CnH2n+1COOH
※化学で使われる高級は、高級なものという意味ではなく、炭素(C)が多いという意味で使われる。

身近な化学2 (からだは偉大な化学工場)

 ヒトに限らず、生物はその体内(あるいは細胞内)にて様々な化学変化を利用して生命を維持しています。植物が水と光からデンプンを生成(光合成)し、動物がそのデンプンを捕食して熱量(ATP:アデノシントリフォスフェート=アデノシン三リン酸)に変換(代謝)します。これら一連の食物連鎖も物質の化学変化によって循環しているわけです。
アミノ酸とタンパク質の項にあるように、肉(タンパク質)を食べるとペプシンという消化酵素(塩酸)で消化(加水分解)され、分解されたアミノ酸が必要な部位に運ばれて、必要とされる形態のタンパク質に再結合(脱水縮合)されてからだが形成されます。
あらゆる生物(単細胞の藻類から哺乳類まで)の生命は、何百もの同時進行する、正確に調整された化学反応に依存して、受胎から、成長、成熟、そして最後の死にいたるまでの生命活動を維持しています。これらの反応はそれぞれに、触媒である特定の細胞酵素によってひきおこされ、制御されて完結します。このように、化学反応は生命活動に深く関わっているのですが、あまりに当たり前に行われているために気がつかないだけなのです。


化学で使う数詞(倍数接頭辞)について

 化学において、物質名に使われる名前に似たようなものが多いのは、元素名または物質名の頭に数詞を付けたものが多いためです。代表的なものは下表をみてください。あまり役には立たないですが、眺めてみると結構おもしろいと思います。
基本は、ギリシャ数詞(本当はギリシア数詞と呼ぶらしい)またはラテン数詞らしいですが、例外や特例も多いのでなかなか難しいです。元素記号などはラテン語の頭文字を1〜2文字で表記されてます。

化学例 PET(ポリエチレンテレフタレート) ペットボトル、テトロン、磁気テープなど
DHA(ドコサ ヘキサエン酸) 今注目の不飽和脂肪酸(下欄参照)
EPA(エイコサ ペンタエン酸)    上に同じ
他の例 ペンティアム 第5世代x86-CPU
ヘクタール 100アール
トライアスロン Tri(3)+Athlon(競技)=3種の競技

数詞 参考 数詞 数詞 数詞
1 モノ モノトーン、モノクローム・・・
(ラテン数詞ではユニ。ユニフォーム、ユナイテッド・・・)
 鉛筆のユニとモノはここからきている。互いに1番を名乗っている!
11 ウンデカ 21 ヘン(エ)イコサ 40 テトラコンタ
2 ダイと発音することもある、ダイオキシン、ダイアログ・・・
(ラテン数詞ではバイ。バイリンガル、バイシクル・・・)
12 ドデカ 22 ドコサ 50 ペンタコンタ
3 トリ トリオ、トリプル、トライアングル・・・ 13 トリデカ 23 トリコサ 60 ヘキサコンタ
4 テトラ テトラパック、テトラポッド・・・ 14 テトラデカ 24 テトラコサ 70 ヘプタコンタ
5 ペンタ ペンタゴン(五角形)、ペンタデカン・・・ 15 ペンタデカ 25 ペンタコサ 80 オクタコンタ
6 ヘキサ ヘキサゴン、ヘキサノン(カメラのレンズ)・・・ 16 ヘキサデカ 26 ヘキサコサ 90 ノナコンタ
7 ヘプタ ヘプダゴン、ヘプタ・ポーダ(海のトリトンに出てくる) 17 ヘプタデカ 27 ヘプタコサ 100 ヘクタ
8 オクタ オクターブ、オクトパス・・・ 18 オクタデカ 28 オクタコサ 200 ジクタ
9 ノナ ノナ(海のトリトンに出てくる) 19 ノナデカ 29 ノナコサ 1000 キリア
10 デカ デカスロン(十種競技) 20 エイコサ(イコサ) 30 トリアコンタ 多数 ポリ

 ちなみに、1〜4以外は語尾に<ン(ne)>を付ければ飽和炭化水素の名称になります。
  <例:メタン、エタン、ブタン、プロパン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン・・・・>
  ガソリンで使われる「オクタン価」とは、オクタン(C8H18)の配合指数のことです。



ついでにEPAとDHAについて

 EPA(エイコサペンタエン酸:C20H30O2=C19H29COOH)とDHA(ドコサヘキサエン酸:C22H32O2=C21H31COOH)はご存じのようにリノール酸・リノレン酸・オレイン酸と同じように不飽和脂肪酸です。一般家庭で使われる「油」と同じ系列のものです。
話題になっている理由はご存じの通りですが、これらは「不飽和度」が高いと言う特徴があります。不飽和度とは、一般に脂肪酸の炭素(C)は直列に各一価(1本の手)で結合し、炭素のそれぞれの手には隣り合う炭素か水素がつながっています(飽和脂肪酸)。しかし、不飽和の脂肪酸では、いくつかの炭素の手に水素が付かず、手が1本余ってしまって隣の炭素と2本の手でつながって(二重結合)しまっています。これが不飽和状態です。
この二重結合がいくつ有るかで、不飽和脂肪酸の特性が変わってきます。二重結合の数はオレイン酸が1個、リノール酸が2個、リノレン酸が3個です。EPAとDHAではとても多く、EPAではペンタ(5)個、DHAではヘキサ(6)個もあります。そのため効果が高いわけですね!ちなみにエイコサ(20)とドコサ(22)は炭素(C)の数です。それぞれの脂肪酸の一般的効果は、あちこちに出ていますのでそちらを参照下さい。

2001/6/5


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